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震災詠八首

震災詠八首

今夜またあるかも知れぬ大地震リュック背負ひて花の種蒔く 

町に入る私鉄の鉄橋今はなく痩せたる川に鮎の上らず  

たつぷりと水をふふみて剥かれたる福島の桃 色変わりゆく

好きなだけ掘れとスコップ渡さるる出荷停止の解けぬ竹の子 

向日葵のごとき帽子を胸に抱き少女のうなじ黙祷に折るる 

引き上ぐる網の魚の感触を笑顔で語る船なき漁師

悠々と磐城平を雲の行く還らざるひと還れざる人

窓閉じて帰還状況聴くバスの後部座席に煎餅の音

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杠葉(ゆずりは)10首

杠葉10首

鳥の糞に混じりて落ちた種だらう なにやら芽生ふ室外機の横

ユズリハよと妻が気づく 違ひない光沢の葉の付け根が赤い

早いうちに抜けばよかつたここまでに伸びてしまへば愛着も湧く

杠葉と知ればなほさら抜けはせぬ多賀中学校の記念樹なれば

多賀中は吾の最後の勤務校その玄関に杠葉はある

杠葉の大樹の下に酔茗の詩あり生徒の読むことのなく

ユズリハは譲り葉とう吾は子に譲れるものがあるのだらうか

クーラーの室外機を傾けて張る根は太くたくましくある

道にまで枝を広げて葉を散らす幹をやむなく切ることにする

杠葉が泣いてるみたいと妻が言ふ 切り口に湧く樹液こんこん

春潮の寄せる入り江のレストラン「岬の陰が三号機だよ」 #tanka #jtanka

春潮の寄せる入り江のレストラン「岬の陰が三号機だよ」  加藤宙

上句から春のうららかな日にドライブをして景色の良いレストランに立ち寄った情景を思い描いた。ところが、下句の「三号機だよ」から福島原発の三号機のことを詠んだと判り一瞬虚をつかれた。八年経っても、原発の撤去作業はまだまだ準備段階でこれからの長い年月を考えるとやりきれない。その思いがさりげない会話で表現されていてより一層深刻さが伝わってくる。三句の体言止めも効いている。
   
 「六月号山下泉選歌欄評」 上杉憲一

○ありがとうございました。

りんご2

見上げれば109のロゴのなしてふてふ一つよぎりていける #tanka #jtanka


見上げれば109のロゴのなしてふてふ一つよぎりていける 加藤宙

渋谷の交差点の風景だろう。「109」のネオンは渋谷スクランブル交差点のシンボルのようにテレビなどにも映し出されてきたが二○一九年四月に一新された。下の句からは、時代の移りかわり、夥しい人波への揶揄、異様なまでに早く流れてしまう時間への抵抗などが感じられる。
        「塔」八月号 江戸雪・選

○ありがとうございました。

震へつつ死ぬのか我も一月の銀杏の梢に啼く虎落笛 #tanka #塔

震へつつ死ぬのか我も一月の銀杏の梢に啼く虎落笛  加藤宙

中井 初句二句が強烈です。「自分も震えながら死んでしまうのか」という感覚は感覚はどこから来るのか、例えば作者の身近にご病気などでつらい思いをされて亡くなった方がおられるのでしょうか。それとも作者にとっての普遍的な死のイメージ?冬の銀杏
の梢が空高く鳴っている風景の中で。突如そういう思いがわき起こった様子がひしひしと伝わってきます。
糀沢 風景だけでなく、「虎が落ちる」と書く虎落笛の漢字の印象からも、その景色を目の前にして作者が上句の思いを感じ取った
ことが伝わってきます。「自分も震えながら死んでしまうのか」、ここで重ね合わせている震えは銀杏と虎落笛の両者のように思っ
たのですが、見た目からも音からも震えを感じ取っているところに惹かれます。
中井 確かに音も震えるようになりますね。虎落笛という言葉、本当に漢字のインパクトも強くて、体言止めが効いています。

    「塔」四月号作品合評
              糀沢 知世
              中井スピカ
○ありがとうございました。


プロフィール

加藤 宙

Author:加藤 宙
俳句や短歌,日々の思い等をつぶやきます。絵本を好んで読み、「幸福とは何か」「わかるとは何か」「祈りとは」などについて考えています。日が暮れる頃、美味しい肴で至福の時を迎えます。「塔」短歌会。

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